材料の板厚変更による歪み低減と修正時間の短縮
精密板金において、ステンレス板厚1.0㎜かつ全周溶接で、さらに強度が要求されるような製品では、強度的にYAG溶接が使用できない場合はTIG溶接を採用します。ところが、TIG溶接は大きな熱が発生するため1mmの板厚では大きな歪みが生じます。こうして溶接によって発生した歪みは、歪み取りを行う必要があるので、手間がかかりコストが上昇します。
強度の問題で、どうしてもTIG溶接が必要だが歪みが懸念される場合には、板厚を少しでも厚くする事を検討します。例えば、1mmの板厚を1.5mmに変更することで、左の写真のように歪みが低減され、溶接後の修正作業(歪み取り)が容易になり、作業時間が低減します。
POINT
ステンレスなど精密板金に使用する板材は、概して薄い方が材料価格は下がりますが、薄ければ薄いほどTIG溶接などによって生じる歪みは大きくなるので、歪み取り作業に時間がかかり結果的にコストが上昇してしまうことがあります。従って歪みが大きく出るものは板厚を上げることで歪みが低減できるので、コストを削減することが可能なケースがあります。