バネ材の耐久性向上(ヘタリ防止)のポイント
バネ材を設計する際には、低温焼き鈍しを行なえばバネ性をさらに保持することができます。冷間成形でバネを製作する場合、バネ材であっても曲げ加工で残留応力が生じ、寸法変化や弾性強さを損なってしまいます。そのため、バネ性を失うヘタリが発生します。
※左のSUS304CSP-1/2H t=0.5を曲げ加工して、上から圧力を加え8mmたわませた時、約5000回でヘタリが発生し、高さ12㎜のところ7mmになってしまいます。
冷間での曲げ加工はバネ材であってもヘタリが生じてしまうため、用途に応じて低温焼き鈍しという熱処理を加えることで、圧力が繰り返しかけられてもヘタリを起こしにくくなります。
※プレスブレーキによる耐久テストでは、5,000回を越えてもヘタリは発生しません。
POINT
精密板金では、用途に応じて様々な素材・表面処理・熱処理を行って耐食性・耐熱性・耐久性などを向上させます。バネ鋼は圧力が繰り返しかけられても元に戻るという性質を持っていますが、用途によっては不十分なケースもあります。その場合は、バネ鋼に低温焼き鈍しなどの処理を加えることで、さらに耐久性を向上させることが可能です。