タブ構造に変更することで溶接レスを実現

今回ご紹介するVE事例は、タブ構造を採用することで溶接レスを実現し、コストダウンを図った事例です。
たとえば左の図のように、いくつか部屋に小分けされたトレーを製作しようとした場合には、通常であれば強度も要求されるので、溶接を行う場合が殆どであり、組み立てる際にはどうしてもスキマが必要になるため、tig溶接を行います(レーザー溶接はスキマがあると溶接できない)。
さらにこのtig溶接は、図のように数か所に渡って溶接しなければならないので、歪みが発生してしまいます。その結果、時間がかかりコストアップに繋がってしまいます。


このように、どうしてもtig溶接が必要だが、溶接による歪みが発生してしまうトレーなどの精密板金は、いっそのこと溶接をせず、タブを使ったはめ込み式の構造にすることを検討します。
左の図はその一例ですが、このようなひと手間を加えることで、仕切り板を押し込むだけでトレーが完成します(なお、トレーの四隅は溶接しています)。なお、tig溶接をしっかり行った場合よりもさすがに強度は落ちてしまいますが、トレーなどの用途であれば十分な強度が保てます。
POINT
精密板金のコストを大きく左右するのは溶接であることが多くあります。従って、もともとの設計では溶接が必要と考えられていたものでも、曲げただけ、組み立てるだけ、で完成させることができれば、製作時間も短縮できコストも低減します。さらに今回のケースのようなタブにはめ込む方式を採用することができれば、強度も十分に確保することが可能です。外観や用途は制限されてしまいますが、歪みとコストを抑える点では非常に有効な手段といえます。