精密板金加工の外観品質向上とコストダウンを両立させるためのVA・VE設計技術情報満載

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精密板金のコストを追及するために必要なポイント

精密板金部品のコストは、製品全体の競争力を左右する重要な要素です。単に「安ければ良い」というわけではなく、求められる品質機能を維持しながら、いかに合理的にコストを追及するかが鍵となります。

一般的に、材質の変更や溶接工程の削減などがコストダウンに繋がることが知られていますが、シビアな要求をクリアしつつ、さらに深くコストを詰めていくためには、設計段階からの踏み込んだ検討が不可欠です。

本記事では、精密板金のプロが実践するコストダウンの具体的なポイントを、設計、加工、材料の観点から徹底解説します。

1. 設計見直しで実現する加工工数の削減

 

加工コストは、作業にかかる時間、すなわち工数に大きく依存します。設計上の小さな見直しが、実は大きな工数削減、ひいてはコストダウンに繋がるケースが多々あります。

 

1-1. 公差の適正化:厳しすぎる要求はコストアップの元凶

 

最も重要な見直しポイントの一つが公差です。

  • 公差が厳しすぎる場合:高い精度を出すために、追加の検査工程や調整作業、あるいは特定の高精度な設備・治具の使用が必要になることがあります。これにより、1工程を追加しなければならなくなり、結果としてコストが上昇します。精密板金では一般公差は±0.1~0.2mm程度ですので、機械加工で求められるような寸法公差は、形状や大きさによってはできるケースもありますが、それでも大幅なコストアップになります。
  • 公差の適正化:製品の機能上、本当に必要な精度を見極め、必要最低限の公差に緩和することが重要です。これにより、作業工数を減らし、標準的な加工方法で対応できるようになり、コスト低減に直結します。

 

1-2. 外観面の要求の緩和:不要な仕上げを省く

 

外観面の要求もコストに直結します。特に、内部部品など機能上、見栄えが問われない部分への過度な要求は避けるべきです。

  • 例:「裏キズもなきこと」といった要求:製品の裏面や内部など、通常見えない部分に対して「キズ・打痕を一切認めない」といった厳しい要求を設けると、慎重な取り扱い、保護養生、検査の強化などが必要となり、コストが大幅に上昇します。
  • 緩和の提案:機能に影響のない部分については、外観品質の基準を緩和することで、コストを抑えることが可能です。また、表面処理についても全面塗装ではなく必要な部分のみの塗装に切り替えるなどの見直しも有効です。

 

1-3. 部品の分割と一体化のバランス:複雑な形状は「分割」も視野に

 

近年、部品点数削減の観点から、複雑な曲げが要求される部品を一体化させる製品が増えています。しかし、複雑すぎる一体形状はかえって作業性(曲げ加工)を悪化させ、工数が増加する場合があります。

形状の複雑さ 提案される設計変更 コスト低減に繋がる理由
複雑な一体形状 分割して後から接合(溶接、リベット、ねじ止め) 1つの部品での非常に作業性の悪い曲げ加工が解消され、個々の部品は比較的容易に加工でき、トータルの作業工数が低減する。
溶接ありの複数部品 ベンダー加工による一体化 溶接工程(溶接、歪み取り、仕上げ)が不要になるため、作業コストを削減できる。

特に複雑な曲げが求められる場合は、あえて部品を分割し、スポット溶接などの簡易的な接合を行うことで、コストを低減できるケースも少なくありません。

 

2. 材料と加工法の最適化:低コスト化の基本戦略

 

設計的な見直しと並行して、材料選定や加工法の基本を押さえることも重要です。

 

2-1. 材質と板厚の適正化

 

  • 板厚の統一と最小限化:製品の強度を維持できる必要最小限の板厚を選択することで、材料費と軽量化に繋がります。また、可能な限り板厚を統一することで、加工会社の管理の手間や在庫負担が減り、コストダウンが図れます。
  • 汎用材の活用:高価な特殊材ではなく、一般的に流通している材料(規格材)や、性能を維持しつつ安価な代替材(例: SUS304からSUS430など)を検討することで、材料費を削減できます。

 

2-2. 溶接・締結方法の工夫

 

  • 溶接の削減:溶接は多くの工数(溶接、歪み取り、仕上げ、検査)を要するため、可能な限り溶接を減らすことが基本です。
  • リブ溶接から三角リブヘミング曲げによる補強へ変更
  • 溶接ナットからバーリングタップ、または溶接しない(ねじ止め)への切り替え(バーリングはタップ山を確保しつつ板厚増によるコスト増を防げる)
  • 溶接をリベット留めに変更
  • リブ加工やへミング曲げの活用:強度確保のため補強板を追加する代わりに、板金にリブ加工(曲げ補強)を施すことで、部品点数を削減しつつ強度を向上させられます。なお、安全性が求められるエッジ処理にヘミング曲げ(板の折り返し)を採用すれば、見た目も向上しますが、実際にコストダウンに繋がるかは検討が必要です。

 

2-3. 部品点数の削減と一体化(組立工程の視点)

 

前述の複雑な曲げを伴う一体化とは別に、組立工数を削減するための部品一体化も重要です。

  • 複数の部品を折り曲げ加工などで一体化し、組立工数(ねじ止め、検査工数など)を削減する。

タップやネジサイズを統一することで、組立時の工具の持ち替えを減らし、作業効率を向上させる。

 

精密板金のコストダウンを実現するためのチェックリスト

 

検討フェーズ コスト追及のための具体的なチェックポイント
設計・図面 1. 公差は本当にその値が必要か?必要最低限に緩和できないか?
2. 外観要求は機能に影響しない部分まで厳しくなっていないか?(裏キズ、仕上げなど)
3. 部品点数の削減(折り曲げで一体化)は可能か?
4. 一体化が複雑すぎないか?作業性が悪いなら分割も検討したか?(スポット溶接の活用)
5. 締結部品(ねじなど)はバーリングタップなどで代用できないか?
材料・規格 6. 板厚は必要最低限か?異なる板厚を統一できないか?
7. 材質は要求性能を維持しつつ、より安価な汎用材に変更できないか?

(SUS304→SUS430など)

8. 定尺サイズを考慮した設計になっているか?(材料の歩留まり向上)
加工・工法 9. 溶接工程を削減できないか?(リベット、リブ加工の活用)
10. 塗装は全面に必要か?必要な部分のみに絞れないか?
11. 曲げ回数を減らせる設計変更はないか?

3. プロの視点を取り入れる:協和工業にご相談ください

 

精密板金のコストダウンは、設計者の意図と製造現場の知見をすり合わせることで初めて実現します。

協和工業では、お客様からいただいた図面を単に加工するだけでなく、長年の経験とノウハウに基づき、上記のポイントを踏まえたコストダウンのためのVE/VA(価値分析・価値向上)提案を行っています。

「この公差は本当に必要か?」「この複雑な曲げは分割した方が早い」といった、現場の視点からの具体的な改善案を積極的にご提示し、品質と機能の維持を前提とした提案を行います。

精密板金のコストに課題を感じている方は、まずはお気軽にご相談ください。最適なソリューションを提案し、お客様の競争力向上に貢献します。

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